記事の詳細
「デザイン思考(デザインシンキング)」が子供たちを救う!

デザイン思考(デザインシンキング)により問題の本質を探り、解決策を考える
今回は、デザイン思考(デザインシンキング)をもつ人材が活躍し生み出された製品を事例に取り上げます。
GEヘルスケア社は、病院にあるMRI(磁気共鳴画像装置)の稼動実績においてトップクラスのシェアを誇ります。
まだMRI(磁気共鳴画像装置)を開発したばかりの当時、GEヘルスケア社のMRIの技術主任者は性能向上や小型化に向けて必死に日々研究開発を行っていました。
ある日、技術主任者は自社製品が病院でどのように使用されているのかを確認、ヒアリングに向かうために病院の検査室を訪れました。
そこで技術主任者がみたのは、これからMRIで検査を受ける子供達がMRIの機材をみて泣き叫んでいる光景でした。
近年MRIは多くの病院に設置してあり、レントゲンと一緒に使用されることが多いので使用したことがある人が多いと思います。
MRIは、体にメスを入れることなく体の内部を調査することができます。
痛みを伴わずに検査できるように開発され、子供達の体への負担なく検査できるすばらしい医療機材です。
しかし、現実では子供達はMRIのまがまがしい機材をみて泣いてしまい、10分程度で終わる検査のために鎮静剤を打つ子供もいたそうです。
この光景をみた技術主任者は、使用する人々の求めているものは性能の向上や、小型化が最優先ではないということを思い知ったのです。
「デザイン思考(デザインシンキング)」のプロセスが子供たちを笑顔に変える
それ以降、研究開発の方向性を性能の向上小型化から、どうしたら子供達に鎮静剤を打たずに安全にMRIを利用してもらうかという問題の解決へ変更しました。
そして子供達へのヒアリングを行い、病院で受けるストレスや退院したら何をしたいのかを聞きだし、そして分析しました。
その結果、子供達が求めていることは「健康になってスポーツや自由にいろいろなところにお出かけをしたい」ことが多いのに気がつきました。
ヒアリングの結果をもとに、病院で受ける検査のプロセスを冒険に出かけるような経験へと転化し、病院の壁や医療機材を宇宙船や海賊船、お城などのデザインにし直して、子供達にとって恐怖でしかなかった病院で検査にいく行動を、ディズニーランドや映画館にいくという楽しくワクワクするイメージに変えることに成功し、そして鎮静剤を打つ必要がほとんどなくなったのです。
このように、デザイン思考(デザインシンキング)の「洞察」「観察」「共感」のプロセスにそって問題を分析することで、本当に解決しなければならない問題を認識することができ、製品の研究開発の方向性を再検討することが可能となります。
今回の事例は、技術主任者が検査を受ける子供達になりきって考えることとで、問題の本質に気づくことができ、改善することができた事例を紹介しました。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。