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デザイン マネジメントによるブランド価値

「デザイン マネジメント」と「ブランド価値」について
前回までは「デザイン マネジメント」によって、「破壊的イノベーション」を起こしうる製品を生み出すことに焦点を当ててきました。
「デザイン・マネジメント」が注目されている理由は、「破壊的イノベーション」を起こせるだけではありません。
企業にとって共通した製品の「デザイン」は、企業のブランドイメージにダイレクトに繋がります。
日本の企業のイメージを思い返してみてください。
カメラならキャノン、家電ならパナソニック、音響関係ならソニーなど、日本の企業は技術力の高さが企業ブランドに結びついています。
これはとてもすごいことで、カメラ業界には日本の企業が強すぎて参入できないといわれているほどです。
また、後進国においては、壊れない日本製の家電はとても人気があります。
では次に、海外の企業のブランドイメージを考えてみましょう。
アップルやアディダス、ナイキ、スターバックス、マクドナルドなどの企業のロゴを思い出してみてください。
大抵の人はすぐに思い出せますよね。
これは、デザインによって作られたブランドイメージの一部です。
これらの企業の出す製品は、どれも統一した形態、またはコンセプトが読み取れると思います。
このように企業の持つデザインが、企業のブランドイメージに直接結びつきます。「デザイン マネジメント」によって統制されたデザインです。
技術によって作られたブランドイメージは、技術力が他の企業に抜かれた瞬間、または、コストパフォーマンスで他社に負けてしまった場合にブランドの価値が落ちてしまいます。
しかし、デザインによって作られたブランドイメージは、例え、他の企業がどんなにすごい技術力の商品をだしても、この企業のデザインが人々の「好き」、「いいかも」、という感性に訴えかけ、「感情」や「趣味嗜好」で製品を選ぶので、ブランド価値が低下しにくいのです。
もちろん、継続的に統一したデザインの製品にしなければ、ブランド価値が落ちてしまいます。
なので、ブランド価値を向上または維持するためにファンづくりを推進する「デザイン マネジメント」が必要となります。
現在、世界的にデザインを軸に企業のブランドを創造する戦略が注目されています。
理由としては、低価格や技術力の高さで企業イメージをつくってしまうと、競争企業が多い(障壁の度合いが大きい)ため参入することすらできない可能性があります。
「デザイン マネジメント」によって設計(計画)してある精練されたデザインは、デザイン自体が価値を持ちます。いわゆる「付加価値」です。
デザインは十人十色の価値を生み出す
デザインを比べる時は、必ず個人の主観(気持ち)が入ります。
人間は十人十色なため、10人が10人同じデザインを好むことは稀です。
なので、コスト競争のように「安く手に入れたい」という人たちの画一的な価値感の中での、激しい顧客の取り合いが起こりにくいことも、デザインによってつくられるブランド・イメージによる差別化戦略の特徴です。
ブランド・イメージを構築するには、本質的価値をコンセプトにし、デザイン思考のプロセスを辿ることで、戦略的なイメージコントロールが実現可能となります。そういった理由から、ブランド価値の領域でも「デザイン マネジメント」が注目されているのです。
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